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ワークフォースマネジメントの基本と実践

【第13回】コールセンターのサービスレベル達成には「スケジュール遵守率」が鍵

1/16/2020

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「スケジュール遵守率」(じゅんしゅ率)とは、コールセンターのエージェントが、割り当てられた顧客応対業務のスケジュール通りに従事したかどうかを測定し、評価するための指標です。

本連載では、これまで12回にわたって、コールセンターの業務量の正確な予測、最適なエージェント数の算出、戦略的なスケジュールの策定のための方法論について解説してきました。
しかし、そのような方法論を駆使して、どんなに完ぺきなスケジュールを作っても、肝心のエージェントが、スケジュール通りに働いてくれなければサービスレベル目標を達成することはできません。

エージェントがスケジュールを遵守できない原因はいろいろありますが、まずはその実態を客観的なデータとして把握・検証することが必要です。そのために用いる指標が、スケジュール遵守率なのです。

◆ スケジュール遵守率を軽視できない2つの理由

欧米をはじめとする諸外国のコールセンターでは、スケジュール遵守率を、サービスレベル目標の達成のためには決して軽視できない重要な指標として考えています。

それは、以下に述べる2つの点において、スケジュール遵守がコールセンターのマネジメントに大きな影響を与えるからです。

一つ目は、顧客に提供するサービスへの影響です。

表1は、エージェントの離脱が顧客サービスに与える影響を示しています。

1時間に250コール、平均処理時間が240秒で、サービスレベルの目標が20秒以内80%という条件の場合、必要なエージェント数は21人です。ところが、わずか1人減るだけで、サービスレベルは10%下がり、放棄率や平均応答時間は倍増してしまいます。
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二つ目は、コストに与える影響です。

表2はスケジュール遵守率の違いによるコストへの影響を表しています。

1日の顧客応対業務スケジュール時間が8時間、年間オペレーション日数が365日、エージェントの時給を1,200円とすると、スケジュール遵守率が95%の場合、毎日24分の「ロスト時間」(エージェントがスケジュールを離脱することにより失われる時間)が発生します。これを金額換算すると、エージェント数が10人のコールセンターでは、年間約175万円、20人の場合は350万円、50人で876万円、100人で1,752万円となります。

この金額はエージェントの基本給のみであり、実際にはこの他に、顧客の待ち時間の増加による通信費の増加、放棄の発生による逸失利益の増加、リピートコールの増加によるさらなるオペレーションコストの増加などが発生します。“失われるコスト”と“増えるコスト”がともに膨らんで、コストに与える影響がどんどん大きくなります。
以上のように、スケジュール遵守率はとても軽視できるレベルでない影響があるにもかかわらず、日本では話題になることは滅多にありません。その存在すら知らないコールセンターの管理者も少なくありません。

なぜなら、日本人にとって、「仕事の時間は守って当たり前」であり、「今さら“いい大人”に指導することではない」といった精神論で済まされてしまうため、スケジュール遵守率を管理するという具体的な行動に至らないのです。

ところが現実には、ほとんどのコールセンターが、エージェントの遅刻、欠勤をはじめとするスケジュール遵守に関わる問題に悩まされているのもまた事実です。

コールセンターの管理者は、上記のような影響をしっかり認識して、精神論で済ませるのでなく、客観的なデータとしてスケジュール遵守の実態を把握・検証して、必要な対策を講じることが重要です。
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◆ スケジュール遵守率を算出する

スケジュール遵守率の実績は、下記の計算式により求めます。
​
スケジュール遵守率(%)=( a ÷ b )× 100
a: スケジュールされたj間の範囲内で実際に顧客応対業務に従事した時間
b: 顧客応対業務にスケジュールされた時間

​重要なのは、「スケジュールされた時間」という考え方です。

図1の例で説明します。

このエージェントは13:00~14:00に顧客応対業務にスケジュールされていました。開始時間が3分遅れたものの、14:00直前に応答したコールが長引き、14:10に終了しました。
この場合、実働時間はスケジュールされた60分より長い67分ですが、スケジュール遵守時間は、13:03~14:00までの57分であり、スケジュール遵守率は95%となります。

重要なのは、スケジュールされた時間(13:00~14:00)に確実に従事したかどうかであり、14:00以後の10分間はスケジュール遵守の対象とはなりません。
つまり、出だしの遅れをカバーすべく、予定のスケジュールよりも長く働いて埋め合わせをすることはできないのです。

スケジュールは、業務量の正確な予測や最適なエージェント数の算出により作成されたものであり、まずはそれを守る(=遵守する)ことが最優先であるからです。
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◆ スケジュール遵守率の目標を設定する

次に、スケジュール遵守率の目標設定の仕方について説明します。

少なくとも3カ月以上継続してスケジュール遵守率を測定している場合は、その実績値をベースにして目標を設定します。

ただし、単純に過去の実績を踏襲するだけでなく、非遵守時間の原因を検証し、改善の要素を盛り込んだ目標を設定します。

過去の実績値が存在しない、あるいは自社センターの適正値や標準値を定めたい場合は、表3に示した5つのステップにより行います。

ステップ2の「シュリンケージ」とは、エージェントがミーティング、トレーニング、休暇、欠勤など、顧客応対業務以外に費やす時間のことで、ステップ1で定めた平均勤務時間からこれを引いて、顧客応対業務のスケジュール時間を求めます。

ステップ4の「間際のコール」とは、ステップ2のシュリンケージの各項目を開始する間際(直前)に応答した顧客のコールのことで、それによって、シュリンケージ項目のスケジュール時間が後ろへずれ込むことになります。

このずれ込む時間は、暫定的に顧客のコールの平均処理時間とします。開始時間がずれ込んだ場合、終了時間も後ろへスライドさせる場合は、当初のスケジュールに対して平均処理時間の2倍の時間のギャップが生じることになります。終了時間をスライドさせずに、シュリンケージ項目のスケジュール時間を短縮する場合もあります。

表3の例は前者なので、「間際のコール」により発生するずれ込みは合計8回、計48分発生する可能性があることを示しています。

こうして求めた顧客応対業務スケジュール時間から間際のコールによるずれ込み時間を引くことで、スケジュール遵守時間を、さらにそれを顧客応対業務スケジュール時間で除することで、スケジュール遵守率の目標時間を設定することができます。
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スケジュール遵守を阻む原因と対策


エージェントがスケジュールを遵守しない(できない)のは、おもに、以下に示す4つの原因からなります。それぞれについて、その対策と合わせて考察します。

一つ目が、コールセンターの管理者の無為無策なマネジメントです。

どんなにち密で完ぺきな計画を作ったとしても、実際にそれが目論見通りに機能しなければ意味がありません。
エージェントのスケジュールには、業務量の正確な予測や最適なエージェント数の算出など、コールセンターの“計画”が集約されており、スーパーバイザーなどの現場の管理者には、それをしっかりと機能させる責務があります。

そのためには、顧客コンタクトのプラットフォームなどの管理ツールや「MBWA」(Management By Walking Around; スーパーバイザーなどの管理者がエージェントの周囲を歩いて回りながら、サポートやコーチングをおこなうこと)などにより、エージェントの勤務状況をリアルタイムで確認・把握していなければなりません。

さらに、その状況は、「リソース使用状況レポート」(エージェントが、いつ、何を、どれだけの時間おこなったかをデータ化したレポート)に客観的なデータとして反映し、管理者はそのデータを常にチェックして、即時に必要な対策を講じます。

このような、現場の管理者の第一の責務と言える「リアルタイム・マネジメント」の手を抜き、成り行き任せで問題のもぐら叩きに終始しているようでは、せっかくの“計画”が機能するはずもありません。

二つ目の原因は、間際のコールです。

間際のコールとは、文字通り、顧客応対業務のスケジュールが終了する間際に応答したコールのことで、休憩やミーティングなど次のスケジュールに喰い込んでしまうケースです。

特に、次のスケジュールが休憩時間の場合、後ろへずれ込ませると、その次のスケジュールに人員不足が生じてしまいます。しかし、エージェントの健康やモチベーションを考えると、安易に休憩時間を短縮することもできません。

その対策のひとつとして、「チーム単位のブロック制休憩時間」は、この問題の緩和に有効です。

これは、個人単位で休憩時間をスケジュールするのでなく、チーム単位で休憩取得の時間枠のみスケジュールし、その時間枠内で、スーパーバイザーがその時々の状況に合わせて個々のエージェントに休憩を指示するというものですが、その運用が容易でないのも事実です。

このように、間際のコールは、例外なくすべてのコールセンターに発生する頭の痛い問題ですが、なかなか有効な対策を取ることができず、ほとんどの場合、仕方がないとあきらめるだけで、その場限りの一貫性のない対処に留まっています。

しかし、少なくとも、間際のコールが発生したらどうするかというルールやガイドラインをあらかじめ定めておくことは絶対に必要です。そうでないと、スケジュール上のさまざまな混乱やエージェントの不平を生んでしまうからです。

スケジュール遵守を阻む三つ目の原因は、ITツール使用時の待機時間です。

PC、電話プラットフォーム、CRM、メール、チャット、社内業務システム、各種アプリなど、エージェントが使用するITツールは増える一方です。

最近では、セキュリティーの厳格化も加わって、例えば、始業時のログインに思わぬ時間がかかることがあります。そのため、コールセンターの営業時間開始後、しばらくの時間、エージェントの不足が生じ、サービスレベルの悪化を招いてしまうのです。

そのために、「シングルサインオン」など、システム上の対策強化はもちろんですが、「スライディングシフト」(エージェントの小刻みな時差出勤制度)など、人事制度上のケアも必要です。

というのは、例えば営業開始時のログイン待機時間をカバーするために、始業前の準備時間を強制すると、それは労働時間となり、時間外賃金が発生するからです。

以上の3つの原因は、いずれもエージェントの責に依らないものばかりです。

一つ目の原因として述べた無為無策のマネジメントの場合、スケジュールの非遵守はすべてエージェント個人の責任として済まされることが多いのですが、決してそうではないことを認識しなければなりません。

もちろん、エージェント個人の意識も重要です。それが四つ目の原因です。

この問題が深刻な欧米では、業界を挙げて「Power of One」というコンセプトを掲げ、入社前の採用面接時から、スケジュール遵守の重要性について徹底的にトレーニングをおこないます。

欧米ほどではないにしても、日本でも、すべてのコールセンターがエージェントの遅刻・欠勤などに悩まされています。

にもかかわらず、本稿の冒頭に述べた精神論に頼って、この手の教育が十分でないのも確かです。

日本にも、「Power of One」と同様の「One for All, All for One」(1人はみんなのために、みんなは1つの目的のために)というラグビー精神由来のコンセプトがあります。ラグビー人気にあやかるわけではありませんが、コールセンターのチームワーク醸成にも通じる考えであることから、このコンセプトを掲げて、スケジュール遵守に対するトレーニングの強化を図るのも良いでしょう。


Original: 2020年1月16日 - Last modified: 2022年1月14日

この記事はNTTコミュニケーションズ社が運営するビジネスマガジンサイト「Bizコンパス」(現在は非公開)に、「AI時代を生き抜く「本物」のコールセンター運営法」として連載した寄稿を、同社の許諾により転載したものです。なお、同サイトへの掲載時点とは異なる情報や文言表記について、オリジナルの内容を損なわない範囲で更新している場合があります。
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    熊澤 伸宏
    コールセンターの教科書
    ​プロジェクト 主宰
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